最近、毎日ようにバナナを食べている。価格が手頃なのと、栄養価も高く食べるのに手間がいらないという理由からだ。
中学校の授業でも習ったので、バナナの多くはフィリピンから輸入されているということは知っていた。これだけ大量に季節も関係なく輸入されているので、さぞフィリピンのバナナ農家は潤っているだろうと思っていた。しかし、この本を読んでその推測が完全に間違っていることを知った。
バナナというと、ドールとかデルモンテ、というブランドを想起する人も多いだろう。それらのブランドを展開している企業がバナナを日本に輸入している。それに加えて、フィリピンのバナナ農園をコントロールしている。フィリピンからバナナが輸出される際に得られる利益の多くは、そうした企業を含めたサプライチェーンに流れ、肝心のフィリピンのバナナ農家には流れていない。
また、バナナを育てる際、病気や虫害から守るために大量の農薬を使っていることが多い。グレープフルーツやレモンに強い農薬が使われていることは知っていたが、バナナにも使われているとは知らなかった。なぜか無農薬とばかり思っていた。
さらに悪いことに、一部の農薬は空中散布されている。そしてそれはバナナ農園だけでなく、近隣の居住エリアにも影響を及ぼしている。これによって、フィリピンの子どもたちが農薬の影響を受けている可能性があるという。学校に行く時間や、運動場にいる時間帯に農薬の散布が行われたらどうなるかは、少し想像力を働かせればわかるだろう。
正直なところ、このような事実は知らないほうがよかった。しかし、知ったからにはできる限りフィリピンの人が報われるような行動を取りたいと思う。取り急ぎ、有機栽培で作られたバナナを買った。